夜中の3時半。
きつい。
体の芯からガタガタ震える。歯と歯がカチカチ音を鳴らす。
あまりにも体が冷たく感じ、布団から出られない、強烈な悪寒だ。
頭を起こすだけで、頭蓋骨を内側からぶん殴られた様な激しい頭痛が起こる。
なんとか体を持ち上げ枕元に置いてあるコップに手を伸ばし水をゴクリと一口。
「いったーー!!!!!ーーーい!!!ノドいったーーーい!!!しんじゃーー!!!ーう!!おかあさーーーん!!!!」
またもなってしまった。
急性扁桃炎だ。
いつものように心の中でリトルかずくんが叫ぶ。
夜中だから叫ばないのではく、
喉が痛すぎて声すら出せないのだ、、!
本来なら叫びたいほどの激痛だ。
喉以外の痛みであればお腹いっぱい叫ぶ痛みだ。
毛布で体をぐるぐるにくるみ、フラフラ洗面台までたどり着く。
iPhoneの背面ライトで口の中を照らし鏡で喉を覗いて見てみると、
やはりだ。
扁桃が気道を塞がんとばかりにパンパンに腫れ上がり白い細菌の塊が喉の奥の奥までべったりとへばり付いている、首筋も腫れている。
もう見慣れたが、喉の奥のデリケートな部分にできた白色の斑点が等間隔にこびりついた様はかなりグロテスク。
あーやだやだ
自身の体の一部が細菌の巣窟と化してしまっていることをありありと認識してしまう。
これら全てわかりやすい急性扁桃炎の症状だ。
すぐさま布団に潜り込み、体温計で熱を測ってみると38.3分、ふぅ
「やはり高熱だ、精子死なないよな?」
まず初めに思うことはいつもこれだ。
僕の密かな夢は、
明るく美しくそしてフィジカルの強いラテンの血が流れた女性と結婚し愛を育み、男児が産まれたら
なんとか左利きにし、幼い頃から野球をさせ、理にかなったフォームで緩急自在にボールを操り、
そしてクレバーさも兼ね備えた現役時代の工藤公康のような勝てるサウスポーのピッチャーに育て上げたいという夢がある。
産まれた息子に最初に覚えさせたい言葉はもちろん『しんじんるい』だ。
ともかくその夢が潰えてしまうのではないかと毎度不安になる。
それはさておきワシのこの急性扁桃炎一体何回目だ??
今年(12月1日現在)でさほど熱は出なかったものも数に入れるともう5回目だ!!
今年は特におおいのぉ!!!
2ヶ月に一回と言っても今回ほどの症状とは程遠く、ご飯が満足に食べられなかったり、微熱で調子が悪かったりと、少々げんなりする程度ではある。
がしかし
それでも毎度毎度、かかりつけの病院へ行き、
元ヤクルトスワローズの館山似の先生に診察され
鼻歌まじりに看護師さんに抗生物質の入った点滴をしてもらう。
その後最寄りの薬局に行き、うだうだ抗生物質やらなんやらを処方され
帰りに受付のおばあちゃんにお手製のなんとも言えない味のビワの飴を貰うのがいつもの流れだ。
館山もビワも別に問題ないが
「僕は未だに点滴の注射が怖すぎる!!!!!!」
29歳と7日現在、未だに注射針が前腕の血管に刺さる瞬間は申し訳ないが、看護師さんにしがみつかない限り無理だ。
針自体の痛みが慣れないのはもちろんのことだが自らの体の中に何か細くて鋭いものがズブズブ入り込んでいく光景がなんかもう身の毛がよだつほど気持ち悪いのだ!!!
(見なくていいのに絶対見ちゃう!!!)
(何されてるか不安だから!!)
うわぁ!
診察ではいつも館山に、
「木本さんこれで急性扁桃炎○○ヶ月ぶり○○回目ですね〜」
と明るいトーンで出過ぎな甲子園の出場校のような言われ方をされる。
そしてこれもずっと前から言われている。
「コレモウ手術ダネーーー!、年4回以上ノ急性扁桃炎ハ扁桃腺摘出手術ノ対象ダヨー!コドモデモスルコトアルシアンシンダヨー!ダイジョーブ!」
と言われているがビビって未だに手術には踏み切れず適当な返事で誤魔化し続けている。
万が一手術に失敗し、僕の能力は大きく下がり執刀医に
「医学ノ進歩、発展ノタメニハ犠牲ハツキモトデース」
とでも言われたら一巻の終わりだ。
まぁそれはないと思うが、
扁桃腺摘出手術をした勇敢な方々の入院から
退院その後のいきさつのブログを読み漁ってみるとそりゃまぁ怖い怖い。
身近にいる手術に踏み切った人の感想を聞いてもそりゃまぁ恐い恐い。
手術をするかしないかの葛藤は次回書こう。
そのことを書くつもりが文章が妙に長くなってしまった。
あれから3日、とりあえず治りました。
PCRは受けなくていいとの事でした。